行政職の公務員こそ資格が必要な時代。おすすめ・有利な資格ってあるの?
前回記事では、転職先が見つかりにくいためにうつ病などのメンタル疾患休職になりやすい公務員には、資格がキャリアを守る選択肢になることをお伝えしました。
公務員こそ働きながら資格を取るべき理由 異動・出世に資格は役立つ?
転職が一般的になった今日、働きながら資格勉強より、様々な会社で実務経験を重ねて市場価値を高めたほうが良いという考え方は今や常識です。
しかし公務員という業界は非常に特殊なので、特に新卒採用で公務員しかキャリアがない人は、転職によるキャリアアップが難しいという現実があります。
そんなキャリア形成が難しい公務員にとって切り札となり得るのが、資格取得であることを前回記事でお伝えしました。
今回の記事では、前回記事を踏まえて、公務員が勉強すべき「おすすめ資格」について、解説したいと思います。
行政職の公務員にとって共通の「おすすめ資格」はあるのか?
結論から言うと、すべての公務員にとって役に立つ資格、おすすめ資格というものはありません。
自分の頭で真剣に考え、行動しなければ、自分のキャリアにとって直結で役に立つ資格というのは見つからないのです。
なぜなら、特に総合職採用のような形で採用されている「行政職」は一人ひとり状況が全く異なるからです。
そして、その個人を取り巻く社会や組織の情勢も全く違いますし、VUCAの時代と言われるように、令和の社会情勢は時々刻々と変化しています。
「稼げる資格」「おすすめ資格」といった答えに安易に飛びつかず、しっかり自分の状況を分析し、今後のキャリアを一度じっくり考えた先に、自分の将来を有利に導いてくれる資格が見つかるのです。
自分の状況についての分析は、まず、これまで異動してきた部署、今担当している業務、そして業務が自分に合っているかといったことを一度洗い出ししてみましょう。
メモに書き出して一人で考えてみても良いですが、手っ取り早いのは転職活動をしてみることです。
注意すべきは、あくまで転職活動をするだけで良いということ。
公務員の仕事がツライからといって、企業の広告や転職エージェントの言葉に乗せられ、ブラック企業に転職してしまわないよう、気をつけましょう。
実は筆者は、転職活動をしてみたことで、自分には資格勉強が必要だと気づきました。
「なんとなく資格でも勉強してみようかな」という勉強の始め方だと、貴重な時間やお金を自己満足にしかならない民間資格のスクールに費やしてしまうことになります。
そもそも転職活動をして、有名企業からキャリアアップの内定がたくさんもらえるような方であれば、資格勉強する必要は無いのです。
筆者は職務経歴書と履歴書を転職エージェントに提出してもらっただけで、数時間以内に書類選考で落ちてしまう企業ばかりでした。
50社以上申し込んで、面接に進めた企業は一社もありませんでした。
転職活動の際、自分の公務員としてのキャリアを振り返ってみると、辺境地の出先機関ばかりで、早朝の満員電車通勤は必須。さらに、まともなマネジメントができる上司にもほぼ出会ってこなかったことに気づいたのです。
一方で友人たちは本庁の出世ルートの部署で、働き方改革の波に乗ってリモート会議をフル活用しながら企画提案や事業を動かす仕事で活躍していました。
要は中堅職員という一番働き盛りの年代で、すでに人事上、完全に外れルートにハマっていることに気づいたのです。
長年上司には恵まれませんでしたが、担当業務は長年経験すれば難無く処理できる庶務や経理系でした。
議会と関係のない出先機関なので、残業や休日出勤のある時期は決まっています。
働き方改革が及ばないアナログな窓口業務や満員電車通勤さえ我慢すれば、何としても転職したいと思うような環境ではありませんでした。
ある意味、転職活動でもしなければ自分のキャリアの危機感に気づかない状況でもあったのです。
筆者は幼少期から創作活動をしたり、生徒会で活動したりと、一からなにかを企画することが得意でした。
しかし気づけば、膨大な単純作業をマシーンのようにこなすことを迫られる事務所ばかりを異動するようになっていました。
自分に合わない業務を続けることの不安から転職活動をやってみたのですが、結果的に得られたのは自分のキャリアに対する「マジモンの危機感」です。
それ以降、自分のキャリアを少しでも有利にできそうな資格はないか考え抜き、この数年色々と勉強してみました。
いくつかの国家資格も一発合格でき、自分の学習能力・やり抜く力に自信をつけることもできました。
何より収穫だったのは、自分の次のキャリアにつながる、自分にとって本当に必要で勉強すべき資格が見えてきたことです。
育児や介護、持病や障害のある職員にとって、安易な転職は大きな環境変化やストレスに繋がり、最悪働けなくなるような心身の故障リスクにも繋がります。
ましてや、公務員として今働いておられる方の中には、元々そういった事情があって、福利厚生が良い公務員を志望した方も多いでしょう。
「公務員にさえなれば安泰」が神話になった現在、次のキャリアを見据えてアクションを積み重ねるための着実な選択肢が、自分に必要な資格の勉強習慣を身につけるという、最初のステップを見つけることなのです。
自分のキャリアにとって有利&必要な資格が見つからないと、働きながら勉強はできない
読者の中には「とりあえず、今勉強している資格を教えてくれよ」と思っておられる方がいるかもしれません(笑)
しかし、筆者や周囲の同僚が勉強している資格を安易にマネして勉強しようとしても、仕事で疲弊した頭と体では勉強自体が継続しません。
最悪、貴重なリフレッシュの時間を自分に合わない資格の勉強に注ぐことで、ストレスや疲労がたまり、公務員にとっての大きなリスクである、うつ病による休職や退職につながってしまう可能性だってあるのです。
実際筆者の周りには、本庁の激務部署で出世ルートにいながら、「仕事だけの人生にならないよう資格にもチャレンジしている」と司法書士試験の勉強を夜間に継続していた方がいました。
しかし、ある時急にメンタル疾患になってしまい、現在も療養中です。
同期の間では、「メンタルも強くて優秀で出世ルートいながら資格勉強までしていた人があんなことになるなんて・・・」と驚かれています。
これは想像ですが、仕事漬けの人生への焦燥感からただでさえ過労だったのに無理に資格勉強をしたことで、ストレスが限界を超えてしまったのかもしれません。
筆者は決してやりがいのある仕事やポスト、周囲から憧れられる部署にはいません。
一方で楽な業務という訳でもなく、窓口対応があるので昼休憩すら取れないことも多く、土日出勤も普通にある部署です。
そんな決してホワイトではない部署にいながら、休日6〜8時間勉強する習慣を無理なく継続できています。
それは、自身のキャリアを一度真剣に考え、いくつか資格を取ったことで、勉強を楽しく継続できるほど向いている分野が分かってきたからです。
そもそも自分に向いていない勉強は、楽しく継続することができません。
自分にとって武器になる資格を見つけるためには、インターネットで出てくる資格スクールのCMに安易に飛びつくのではなく、一度自分のキャリアに真剣に向き合うことが必要なのです。
そのための手っ取り早い方法は、筆者にとっては、心が傷つくのを覚悟で転職活動をし、全く面接に進めない自分を知ることでした。
しかしすでに育児や介護に追われていて、労力や時間の要する転職活動をする心身の余裕が無い方もいるかもしれません。
今後の記事では、筆者の実体験をもとに、より再現性の高いアクションプランをご紹介したいと思います。