「新人で人事評価が最低だとそのうちクビ?」当事者が語るその答えは「クビにならない」
新人時代から最低の人事評価。
私の公務員人生は、挫折から始まりました。
民間企業のような人事評価を導入している自治体が増えています。
筆者の勤め先ではないものの、2年連続で最低ランクの人事評価を受けた男性職員2人を分限免職処分にした大阪市のニュースが大きく報道されたこともありました。
大阪市が職員2人をクビ…橋下市長、肝いり条例初適用
人事評価で公務員の身分保障もどんどん失われるのではないか?
と不安に思う公務員も多いでしょう。
まして若手時代に下位区分の人事評価を受けてしまうと、毎月の収入が乏しい時期が長く続き、今後の社会人生活すら継続できるか不安になると思います。
筆者は若手時代、早く仕事を覚え、ビジネスマンとしてのスキルを上げたいと必死で、生真面目な性格のあまり体調を崩したこともありました。
しかし年度末の人事評価は下位区分。
体調を崩すほど一生懸命真面目に仕事に取り組んで、この結果なんて、自分はクビになるのではないか?と強い不安と絶望感に駆られたことを今でも鮮明に覚えています。
その後はすっかり自信を失い、クビにならないことを願いながら毎日ビクビクする公務員人生を数年送りました。
そんな私は20年経っても、クビになっていません。
「クビになるのでは」と危機感を抱いてこのブログを読んでくださっているような方は、クビにならないので安心してください。
むしろ20年経って、クビになるべき人間は自分ではなく、不満を訴えづらい若手職員に低い評価をつけた上司だったと確信するようになりました。
公務員の「人事評価」制度はオワコン・・・上位区分でも下位区分でも、正しい評価だとは思わないことが正解
20年、公務員を続けてきて、「上位評価」を受けた色々な方を見てきました。
仕事は超いい加減なのに上司に気に入られている先輩。
日中ほとんど寝ていて、周りの先輩に仕事を押し付け、人事系部署の人と飲みに行ってばかりの後輩。
そんなグループの誰が見ても「無能」そのものな職員が上位区分をもらって周囲に自慢していたことが何度もありました。
(そして本人が帰ったあとに、評価をつけた上司が無能すぎる!と悪口会が開催されていました(笑))
一方、私はパワハラ上司に到底納得できない理由で最低評価をつけられ、次の部署に異動。
そこで新しい上司と仕事をすること数ヶ月。
ある日会議室に呼び出され、こんな衝撃的なことを聞かれました。
前の職場で何かあったの?
去年あんな評価だったから、心配で様子を見ていたんだけど・・・仕事に対して前向きで真面目だし、
なぜあんな評価だったのか不思議で仕方なくて。
少なくとも私は貴方に去年のような評価をつけるつもりは無いからね。
ビクビクせず、自信を持って伸び伸びと仕事してほしいなと思ってます。
私以外の部下からも大変慕われていたその上司は、惜しまれながら次の春にさらに昇任して異動されました。
この上司に出会えたおかげで、確信できたことがあります。
無能な上司だった場合、好き嫌いや感情で公務員の人事評価は大きく左右されるということです。
なぜなら、前の部署でも異動後の部署でも、私の勤務態度は変わっていなかったからです。
変わったのは上司が誰かという点だけ。
実は下位評価を受けたとき一緒に働いていた方数人に会って、一緒に働いていたとき自分は迷惑をかけていたのか確認したことがあります。
もちろん本人の前で「下位評価でも仕方ない仕事ぶりだった」とは言いづらいと思います。
ですので一緒に働いていたときから、指導や注意をすべき時はきちんとして下さっていた方にお聞きしてみました。
しかし全員から
絶対こんな評価おかしい!
ずっと寝てるオッサンとか、他に最低評価にすべき「働かないおじさん」が何人もいたでしょ!
むしろ貴方が業務改善してくれたおかげで、今も助かってることがたくさんあるのに・・・
という答えが返ってきました。
このブログを読んでくださっている方の中には若手なりに懸命に働いたのに、最低評価や下位評価で大きく自信を失っている方もいるかもしれません。
大丈夫です。
最低なのは、貴方ではない。
新人という貴重な人材から自信を奪う評価をつけた、無能な上司の方です。
真の「人事評価」は、いつでも確認することができる!キャリアの健康診断として転職活動をしてみよう
そうは言っても、一日の大半を過ごしている勤め先の上司から受けた評価は気になるもの。
上司以外の存在から、好き嫌いに左右されない、自分のリアルな評価を受けてみたい。
そんな貴方におすすめしたいのは、転職活動です。
転職活動をすれば、世間一般から見た「ホンモノ」の評価を受けることができます。
実際に転職するとなると、転職後の給与や労働環境等を慎重に見極める必要性はあるものの、転職活動するだけならノーリスクです。
筆者が実際にやってみて分かったことは、公務員の職務経歴書(転職活動で使う、これまでの仕事内容を記載した履歴書のような書類)を提出しただけで、ほとんどの企業に書類選考で落とされてしまいます。
職務経歴しか伝えていないので、所属していた公務員の組織で人事評価が良かったとしても、結果は一緒でしょう。
担当して頂いている転職エージェントさん曰く、公務員から民間企業への転職活動をする場合、年齢が高くなるほど難しくなるそうです。
つまり、新人で下位評価をつけられて自信を失っていた20年前、さっさと転職活動をしていれば(笑)今よりよっぽど有利だった可能性もあります。
時既に遅しな転職活動ではあるものの、転職活動をすることのメリットも日々感じています。
転職活動をすると、役所の世界に浸かっていると中々意識しない、経済やテクノロジー、民間の業界動向に自然とアンテナを張るようになります。
公務員にとっての「顧客」である市民の多くは、民間企業で働いておられるか、自ら事業を起こされています。
民間企業で働く方や事業主の皆さんが日頃意識している「世の中のこと」を自分に関わる問題として意識することは、「顧客」である市民目線を持って仕事のできる公務員になることに繋がります。
潰れることがない官公庁の世界は、どうしても視野が狭く、閉塞的になりがち。
無能な上司につけられたアテにならない評価を気にしている時間があれば、「顧客」である市民が見ている世界を知ったほうが、同僚たちより広い視野を持って職務に従事することもできます。
お客さまである市民のためにも、自分の自信を取り戻すためにも、転職活動は心からおすすめしたいと思います。
公務員は病気で退職する人が多い!クビになる心配をする前に、うつ病にならないメンタル作りを心がけよう
20年近く公務員をやっていて、少なくとも自分の勤め先では人事評価が悪くてクビになった人は一人も見たことがありません。
しかし、ある理由で退職した人は何人も見てきました。
それは「うつ病」など病気による退職です。
上司からのパワハラ等でメンタル疾患になり、病休を繰り返した末、次の仕事も決まらないまま退職していった先輩は、何人も見てきました。
公務員生活において、最も気をつけなければならないことは、うつ病など病気になって働けない身体になる危険性だと筆者は年々確信しています。
眠れない、食欲がわかない等の異常が出ている方は、手遅れになる前に迷わず心療内科に行くことをおすすめしたいです。
そして、低い人事評価を受けて若手の時期に自信を失うことは、パワハラ上司に当たったときに攻撃対象になりやすく、心身の健康を損なう危険性を高めます。
当てにならない人事評価で自信を失う前に、転職活動のような、世間一般から見た自分の力を評価する場に自ら出向いていきましょう。
そして今自分に不足しているスキルや資格を身につけていけば、自信を持って仕事に向かい、パワハラ上司に攻撃される隙を少なくすることもできます。
ご自身の人生を守るために、健康で働き続けるために。
転職活動のような、視野を広げることに時間や労力を投資することは、先行き不透明なこの時代で公務員がサバイブするために必須の武器です。