公務員はうつ病による病気休職がマジで多い!
あの人は、うつ病で休職繰り返す系らしいよ
こんな噂は役所で長年勤務していると、特に驚かなくなります。
新規採用職員の頃は、休職から復帰してきた先輩が周囲にいると「えっ・・・どう接したら良いの・・・」と戸惑います。
しかし、10年も経つと特に驚かないですし、「市民対応とか厳しいのかな〜どのくらい配慮必要なのかな」といった業務上のことが真っ先に気になるようになってしまいます。
公務員はうつ病で休職を繰り返す人が本当に多いです。
恐ろしいのは、いかにも繊細で真面目な「病みやすそう」な人だけがうつ病で休職する訳でもありません。
民間企業でバリバリ営業職で活躍していた人が、転職してきて最速で昇進したかと思ったら、休職とリハビリ出勤を繰り返すようになるといったケースも多々あります。
実際にうつ病で診断書が出た、非常に優秀でタフな同期も「まさか自分がメンタルやられてしまうなんて」と言っていました。
今年大変話題を集めた、兵庫県知事の斎藤元彦氏の部下が2人亡くなった事件。
SNSでは、斎藤元彦氏は既得権益である職員のクーデターに嵌められたのだという主張が拡散され
こんなパワハラがあるわけない。
実は知事ははめられたのだ。
実際はクーデターを起こそうとした職員が悪いのでは?
といった主張が盛り上がり、結果的に斎藤元彦氏の再選に繋がりました。
しかし実際に役所に勤務している自分からすると、メンタルをやられて自殺する職員が出ても不思議ではない環境なんだよな〜これが!というのが正直な感想です。
働く人の健康を守る、健全な民間企業にお勤めの方からすると信じられない風土でしょう。
だから「パワハラは職員がバラまいたデマだ」という斎藤元彦氏を擁護する集団がバラまいたデマを簡単に信じてしまう方が多かったのかもしれません。
同じ業界にいる自分からすると、公務員って昭和時代のままなパワハラおじさんが多いから、元官僚の斎藤さんも当たり前のようにパワハラしてたんだろうな〜あるあるだよね〜という印象でした。
よく「ワーク・ライフ・バランス」を求めて公務員を志望する人がいます。
恥ずかしながら筆者も大学生の頃、大企業に勤める親から聞かされてきた
公務員は楽な仕事で定時で帰れる
クビにならない安定した仕事
という話を真実だと思い、公務員試験の勉強をしていました。
しかしこの話こそが、デマだと分かったのは、初めて配属された職場で隣の席が空いている理由を知ったときでした。
誰もいないのかと思っていた席に、ある日初対面の男性が急に座るようになりました。
なんとなく空気で察した私は、なぜ今までその人がいなかったのか聞かないようにしていましたが、しばらくして他の先輩がうつ病で休職を繰り返している方だと教えてくれました。
その男性は大変物腰が柔らかく、一生懸命お仕事に向かわれていましたが、しばらくしてまた休職し、その後退職されました。
うつ病になって何年も休職し、その後クビになる公務員人生・・・新人だった私の心に深く刻まれた出来事でした。
筆者は自他共に認める病みやすい性格。それでも「うつ病で休職」は回避できた理由。
筆者は就活の自己分析の中で、同僚と営業成績を競い合い、ノルマを課されるような営業職には向かない性格だと自覚していました。
高校、大学でも人間関係で過度に悩むことが多く、些細なことで自責の念が湧いて落ち込みやすい内向的な性格です。
そのため、公務員天国というデマを信じ「安定していて楽そう、内向的な人でも勤まりそう」な公務員の道を選択してしまいましたが、「業界分析」が全くできていなかったことを痛感し、猛省しています。
筆者は異動ヒアリングのたびに、自分に自信が無いことを理由に定型業務が中心の部署を希望してきました。
その結果、毒舌な同期から「掃き溜め」と言われるような(笑)辺境の部署に異動することが多い公務員ライフを送ってきました。
自分の異動先には、周囲に休職中の方がいたり、前任が病気退職した人といったケースも多々ありました。
そういった職場は人手不足ですので、休職したことのない自分の業務量は当然多めに割り振られ、年休消化も難しい職場が多かったです。
しかも、公務員業界は「カスタマー・ハラスメント」も突出して多いのです。
パーソル総合研究所が2024年6月に実施した調査では、カスハラ経験率が最も高い業種は「医療・福祉 」 。
そして2位は「国家公務、地方公務」です。
内からも外からもハラスメントを受けるのが当たり前な、公務員という業界の特性。
しかも兵庫県知事選挙で明らかになったように、知事のパワハラ問題ですら「職員が悪かったんじゃないか」という声が挙がると、大多数の県民がよく調べもせずに飛びついてすぐ職員=悪と決めつけていました。
情報リテラシーの高い、今の若い方は、こんな業界を「楽そう」とはさすがに思わないと思います。
しかし、もしまだ昔の認識を持つ方がおられたら、今すぐアップデートすることをオススメします。
筆者が就活生の頃はまだまだ公務員天国神話があり、筆者もその神話に引っかかってしまいました。
自分は実際の公務員業界で求められる「激務耐性」「パワハラ耐性」が低いことは、内定当時から強く自覚しています。
いつか自分もメンタルを病むのだろうな、と将来に不安を覚えながら仕事に忙殺されるうちに、気づいたら中堅職員になっていました。
そして気づけば同期には休職を経験したことがある友人が、何人もいるようになりました。
まさかお前がうつ病にならずに、俺が病気休職を繰り返すようになるなんてな・・・
といった言葉を友人から言われたこともあります。
筆者は公務員試験に失敗し、奇跡的に一つだけ内定を頂けた役所で20年近く勤務しています。
ですので、「本来は落ちているはずの人材だから、能力不足だろうし、真っ先に自分がうつ病になるだろう」という危機感がありました。
そこで、様々な試行錯誤を繰り返し、ハラスメントが蔓延するこの業界で、病気休職・退職の危機を回避してきました。
それどころか、余暇に自己研鑽をあえて行うことで、仕事以外にも熱中することができ、結果的には年をとればとるほど、自分の体力や仕事力は向上していくようになりました。
スキルの向上により、時間外業務も削減できており、市民対応では有り難いことに頻繁にお褒めのお言葉も頂いております。
入庁してみたら周りに病気休職の人がいる!
俺もいつかメンタルやられてしまうのかな・・・
と不安に思われている方。
業務のことをつい休みの日にも考えてしまう、このままでは休職してしまいそう・・・
と思い詰めている真面目な方。
後編では自分が実践してきたことを、詳細にお伝えし、皆さまのお役に立ちたいと思います。
兵庫県知事選挙では多数の職員がパワハラを目撃した証言が民意によって黙殺されました。
全国各地の役所で、ますます激しさを増す公務員バッシングに精神的に追い詰められている公務員の方も多いかもしれません。
少しでも、悩める公務員の皆様のお役に立てれば幸いです。